カーボンニュートラルとは
現在の鉄鉱石からの鉄鋼(スチール)の製造には石炭等の化石資源が必要で、CO2が排出されています。
地球規模でさらなるCO2削減が望まれているなか、日本鉄鋼連盟は鉄鋼業におけるカーボンニュートラルを目指し、
革新的な技術開発にチャレンジしています。
日本のエネルギー起源CO2排出量 (2020年、電気・熱配分後)
※図を拡大して見ることができます。電気事業者の発電に伴う排出量を電力消費量に応じて最終需要部門に配分した後の値。
機械は金属品製造業を含む。化学工業は石油石炭製品を含む。
環境省:日本の温室効果ガス排出量データ(1990~2020年度)(確報値)より作成
鉄鋼は鉄(Fe)が空気中の酸素(O)と結びついた「さび」に似た鉄鉱石を原料としています。鉄鉱石から鉄を製造するには酸素を引きはがす必要があります。この酸素を引きはがす材料として、現在では石炭などの化石燃料に含まれる炭素(カーボン、C)が用いられています。炭素は鉄よりも酸素に非常に結びつきやすいので鉄鉱石から酸素を引きはがしてくれます。この反応を「還元反応」と呼びます。鉄鉱石の炭素による還元反応によって鉄が生成しますが、その際にCO2も一緒に発生します。
炭素と同様に水素ガス(H2)も酸素と結びつきやすいため、水素を使っても鉄鉱石を還元できます。水素を使って鉄鉱石の還元を行う場合、鉄とともに発生するのはH2O(水)です。そのため、水素を鉄鉱石還元に使えれば鉄鋼製造におけるCO2発生はなくなり、カーボンニュートラルスチールが実現するはずです。
炭素による鉄鉱石の還元
水素による鉄鉱石の還元
炭素による鉄鉱石の還元
水素による鉄鉱石の還元
高炉法はエネルギー効率、生産性共に非常に優れた鉄鉱石還元法で、数百年の歴史があり、世界の鉄鋼生産の大部分がこの方法で行われています。また、極めて巨大な反応炉で、その製造には何百億円もの費用がかかるため、従来の高炉を生かしつつ、ぎりぎりどこまで水素を入れられるかが技術上の大きな課題になります。
2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(2020)における水素価格と供給量目標(○)および水素価格のトレンド予想(破線)
※図を拡大して見ることができます。同戦略における国内供給目標
※図を拡大して見ることができます。上記のようにカーボンニュートラルの実現に向け様々な課題がありますが、日本鉄鋼連盟ではその実現に向けて、以下のようなステップでその実現に挑戦します。
なお、Super COURSE50では上記の通り、支えとなる炭素をゼロにすることはできません。そのため、CCUS(CO2 Capture, Utilization and Storage、CO2捕集、利用、貯留)技術を組み合わせて残りのCO2の排出を抑制する技術開発も必要です。特にCCS(CO2捕集、貯留)においては貯留地の整備等の社会基盤整備も併せて必要です。
※図を拡大して見ることができます。